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第十五話 『犬と便器と』

2014-12-15

 男子のおしっこを呑む。
 桃香にとってそれは想像する事さえできない、あまりにも異常な行動だった。男子の立ちションという行動自体は、実際に見た事もあるし知識としても知っている。弟が小さい頃、茂みに連れていっておしっこさせた事は一度や二度ではなかった。女子と違っておちんちんがホースのように伸びていて、その先端から放尿できる男子は、驚くべき事に立ったままおしっこができるのだ。桃香はおちんちんが欲しいなどとは一切思わない。だが簡単に用が足せる男子が羨ましいとは少し思っていた。
 女子は結局、おしっこをする時も排便と同じだけの手間暇がかかるのだから。トイレの個室に入り、ショーツを膝まで下ろし、便器にしゃがむか座るかして排尿する。その時におしっこが飛び散って股間全体を汚してしまうため、トイレットペーパーで丁寧に拭う必要もあった。ズボンのファスナーを下ろしておちんちんをつまみ出し、サッと立ちションした後、軽くおちんちんを振るだけでパンツにしまえる男子とは大違いだ。低学年の頃ならおしっこを拭かずにパンツを穿いてもそれほど抵抗は無かったが……やはりトイレットペーパーでの後始末は不可欠だろう。
 どちらにせよ、おしっこはウンチと同じく汚くて臭いもの。
 それが桃香の……いや普通の人間の感覚であった。女性のおしっこを喜んで飲み干すような変態は、ごくごく少数派なのである。そんな普通の感覚を持った桃香が、これから男子のおしっこを呑むのだ。しかもその相手は、馬鹿ネズミと散々嘲って顎でこき使ってきた、根墨忠一。これほどの屈辱も無かろう。
 新聞紙の上で呆然とへたり込んでいる桃香をよそに、礼門は何やら忠一に耳打ちをしていた。内緒話のおおよその見当はつく。後で桃香にたっぷり虐めてもらいたかったら、自分の言う通り桃香におしっこを呑ませて散々に罵倒しろ……とでも言っているのだろう。姫乃がどうやって桃香を倒したのか、士郎あたりに事の次第を聞いて、礼門が忠一の扱い方を学習したのは間違いなかった。
「へへ……和平会談に出ずっぱりで、根墨がトイレに行ってなかったのはラッキーだったぜ。もしこいつが催してねぇなんて言うなら、俺が代わりにションベンするつもりだったけどよ」
 誇らしげに言い放つ礼門が、忠一からカメラを受け取る。撮影係を引き受け、彼が桃香の凌辱に集中するよう仕向けたのだ。両手の空いた忠一が、ゆっくりと桃香に歩み寄ってきた。
「――いい格好ですねぇ、桃香様」
 大きな丸眼鏡の位置を直し、しげしげと桃香の……かつての主の素っ裸を鑑賞する。思わず両手で身体を隠したくなったが、かろうじて残っていたプライドがそれを制した。さんざん見られて撮影までされたのに、今さら隠してどうなるというのだ。
「桃香様にはあれこれ顎でこき使われましたが、まさかこの馬鹿ネズミめのおしっこを呑んで下さる日が来ようとは……あっしも感無量でございますよ」
 ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべる忠一の表情はとても演技とは思えなかった。しかしこれはれっきとした芝居なのだ。彼は桃香に虐められ、馬鹿にされ、屈服させられる事に無上の喜びを見出している。逆に桃香に復讐して辱める事は、むしろ苦痛とさえ思っているはずだ。こうやって演技で桃香に屈辱を与えれば与えるほど、後でたっぷり仕返ししてもらえる――。そう礼門に入れ知恵され、素直に実行に移しているに過ぎなかった。
 忠一が演技でなく、素で桃香に復讐を企むような男なら、どれほど良かっただろう。それなら桃香はすぐに彼の裏切りに気付く事ができた。裏切っているのに裏切っていないなどという、彼女にとって理解不能の行動に走る事はなかったはずだ。そうなれば当然、和平会談の席上で敗北を喫したのは、桃香ではなく姫乃になっていたに違いない。
「まずはきちんとお願いしてもらいましょうかね、桃香様?」
 腕を組み、口角を釣り上げる忠一。演技だろうと本心だろうと、今は彼に屈服して隷従しなければならない。それが桃香に強制された義務なのだ。
「お願い……ですって……?」
「やだなぁ、解剖授業で甲守さんに謝らせた時の事、もうお忘れですか? あの時桃香様は仰ったじゃありませんか。『ちゃんとした謝り方』で謝ってもらわないと許さないって。それと同じですよ。『ちゃんとしたお願い』をしてもらいませんと、あっしもみんなの前でパンツを脱いで小便をする気にはなれません」
 解剖授業で耶美をさんざんにいたぶり抜いた桃香は、いまブーメランのようにその報いを受けようとしていた。あの時、桃香は自分の頭を一番高い位置に持っていった。そして耶美に対して自分の頭を一番低い位置に動かすように強いた。それが誠意の見せ方だと言わんばかりに。
 つまり忠一は桃香に対し、土下座してお願いしろと強制しているのである。そしてもちろん、あの時の耶美に拒否権が無かったのと同じように、今の桃香に拒否権は無かった。拒めば、礼門の肉棒を性器にねじ込まれて、無残に処女を散らすだけである。
 いやどうせ最後には犯されてしまうのだろう。桃香もそれは十分わかっていた。わかっていたのだが……しかし無駄な悪あがきをせずにはいられない。自分でもそれが不思議だった。なぜ諦めてさっさと苦痛を終わらせる道を選べないのか?
 それはずっと以前から桃香が抱いていた疑問にも合致していた。かつて桃香に負けてパンツを脱がされ、みっともなくおちんちんを晒していった雑魚男子たちが、どうして潔く負けを認められないのか? 彼女は内心馬鹿にして見下していたくらいだ。しかし同じ立場に立った今なら、彼らの気持ちが痛いほどよく分かる。人間いざ追い詰められてしまえば、無駄と分かっていても最後の最後まで悪あがきをしないわけにはいかない。それは人間が持つ、当然の生存本能であった。
「わかりました……」
 無駄と分かっていたも、万に一つの可能性に賭けて、生存の希望に望みをつなぐ。それがこの世に生を受けた者の宿命なのである。昼間の耶美の処女喪失を間近で見せつけられた桃香にとって、礼門に犯されて処女を失う事は無上の恐怖であった。平気な素振りを見せたつもりだったが、あの時受けた精神的なショックは想像以上。敗北した今となってはすっかり萎縮させられてしまっている。レイプから逃れるためならば、忠一に土下座する事も、それほど苦痛ではなかった。
 しかしもちろん、耐えがたい屈辱である事に違いは無い。クラスメイトたちも固唾を呑んで見守っていた。桃香が本当に忠一に屈服し、命乞いをするのかどうか。その決定的敗北の瞬間を見逃さすまいと、全員目を皿のようにして、彼女の一挙手一投足に注意を向けている。
 桃香は忠一の足元で正座して姿勢を正した。そのまま両手をつき、ゆっくりと腰を折って頭を垂れていく。忠一の位置からは見えないが、反対側に回ればきっと肛門や性器が丸見えになっているはずだ。
 素っ裸での完全なる土下座。
 屈服と服従の証だった。
 あの時、勝ち誇った顔で耶美を見下ろしていた桃香が、今度は忠一の足元で這いつくばっている。
「今まで……偉そうな態度で、申し訳ありませんでした……。忠一……様をこき使って、身の程知らずでした。これからは二度と……忠一様に……逆らいません。ごめんなさい。許して下さい。お願いします……」
 図らずも耶美のセリフをなぞるような形で、桃香は敗北宣言を紡ぎ出していった。
「お詫びの印に……忠一様のおしっこを呑ませて下さい」
 プール開きの頃を境に、桃香は公然と忠一を奴隷扱いし、いいように虐め抜いていた。それはクラスの誰もが知っている事実だ。それゆえにこの光景は衝撃的だった。あれほど女王様然と忠一をこき使い、見下して蔑んでいた桃香が、今ではすっぽんぽんになって忠一の前にひれ伏している。二人の立場は完全に逆転していた。これほど惨めな仕打ちもないだろう。よくもまぁ礼門も陰湿な仕打ちを考え付いたものである。
「あーあ、ガッカリですよ桃香様。あれほど強気でカッコ良かった桃香様が、泣きながら土下座するなんて。しかもすっぽんぽん! 幻滅しました。どんな目に遭ってもプライドだけは捨てたりしないって思ってましたのに」
 わざとらしく声を上げる忠一。この言葉はかつて、耶美を見下して桃香が言い放った言葉の換骨奪胎だ。さっき礼門に耳打ちされたプラン通りの行動と思われた。一体どこまで桃香に恥を掻かせば気が済むのか。少なくともそれは、耶美が桃香に受けた辱めと同じか、それ以上である事には間違いなかった。つまりあの時桃香が耶美にしたような事を、今から桃香は強制されるのだ。例えば……。
 忠一は右足を持ち上げた。宿直室のほぼ全面に渡ってビニールシートと新聞紙が敷かれているために、彼を初めとしてほとんどの男子は土足である。上履きなど自然教室には持ってきていない。クラスのほぼ全員が駆けつけてきているのに、靴を脱いだりしたらどれが自分の靴かも分からなくなってしまうだろう。
 その持ち上げた右足の土足で、忠一は桃香の頭を踏みつけた。靴底で後頭部をグリグリと踏みにじり、彼女の額を新聞紙に擦り付けていく。ついさっき入浴の際、シャンプーとリンスで綺麗に洗われた桃香の長い髪が、たちまち泥まみれに汚れていった。
 もちろん彼女は抵抗しない。足を払おうともせず、文句を言い放つ事もせず、唯々諾々と忠一に服従するだけだ。かつての耶美がそうであったように。
「舐めて下さい、桃香様?」
 当然のごとく、忠一が桃香の鼻先に土足を突きつける。予想された行動だろう。桃香だけでなく、この場にいる全員が、こうなる事を予測していた。桃香が耶美に与えた屈辱を、今度は忠一が桃香に与えるのだ。あの時は上履きだったが、今度は土足だ。一体どちらの方がみじめだろうか。そんな不毛な事を考えながら、桃香はおずおずと舌を出していった。
 宿直室にテレビは無いが、礼門のビデオカメラは解剖授業の時と同じく、忠一の靴を舐める敗北の瞬間を撮影している。この光景は羽生桃香の永遠の恥として、デジタルデータに記録されていくのだ。ピチャピチャという唾液の水音だけが、静まり返った空間に響いていた。
「へへへ……とうとう羽生の奴もここまで堕ちたか。ざまぁねぇな。散々、馬鹿ゴリラだの馬鹿ネズミだの威張り散らしやがって。おい根墨、もうこんな奴『様』付けする必要はないぞ? こんな馬鹿女、これからは『馬鹿桃香』で十分だ」
 礼門がようやく下らないお芝居口調を捨て、本来の粗暴な話し方に戻していく。
「馬鹿桃香……ですか?」
「そう呼んでやったら、後でさぞお前の事を虐め抜いてくれるだろうよ」
「なるほど。そういう事なら」
 素直なのか単なる馬鹿なのか。忠一は桃香に虐めてもらうためと聞かされれば、いともたやすく他人の話を信じて実行に移していた。これなら姫乃の口車にあっさり乗せられたのも無理はない。
「――おい、馬鹿桃香。ちゃんと靴底も舐めろ」
 初めて忠一が、命令口調で桃香を呼び捨てにした。本当に演技でやっているのだろうか? 本心では忠一も、桃香を屈服させてやりたいと思っていたのではないか? 困惑する桃香だったが、どっちだろうと彼女が取るべき行動に変化は無かった。彼女はただ、忠一に絶対服従するしかないのだ。
「はい……忠一様」
 彼は爪先を上げ、泥汚れの残るゴム底を桃香に見せつけた。もはや躊躇うことなく、彼女は丹念にそこを舐め上げていく。
 開戦初期からスパイとしてこき使い、ストレス解消の道具としてさんざん罵倒してきた忠一に、こうしてひれ伏して許しを乞う事になろうとは、誰が想像できたであろうか? あまりの被虐に桃香の思考能力は徐々に摩耗を余儀なくされていった。
「よーし、もういいだろ。今からあっしのションベンを呑ませてやるぜ。嬉しいか、馬鹿桃香?」
「はい……嬉しいです忠一様」
「なら狙いが付けやすいように、チンチンの姿勢になれ」
 チン……チン?
 聞き慣れない言葉が飛び出し、桃香が困惑する。いや『おちんちん』なら知っている。だが『チンチン』が男性器を意味すると考えると、『チンチンの姿勢』の意味が通じなくなってしまうだろう。男性器以外の言葉で、『チンチン』と言えば、あと考えられるのは……。
「ま、さか……」
 桃香が青褪めた。よもや忠一がこんな屈辱的な命令を出してくるとは、想像していなかったのだ。これも礼門の差し金か? 耳打ちで指示を出してやらせているとすれば合点もいく。耶美が受けた恥辱をさらに上回る辱めでいたぶり尽くし、桃香を身も心もズタズタのボロボロに追い込む事。それが礼門の企みなのだから。
「チンチンと言えば、犬のチンチンに決まってるだろ。早くしろ馬鹿桃香っ!」
 忠一に怒鳴られ、桃香はビクンと肩を震わせた。怖がっている……? 自分が? 忠一を? 馬鹿ネズミと罵って散々顎で使った、この男子奴隷を……?
 信じられなかった。
 信じたくなかった。
 しかしこれが現実なのだ。素っ裸にされ、土下座を強要され、敗北に打ちひしがれた今、もはや桃香は忠一にすら逆らえない……か弱い女の子に成り下がってしまった。そしてこれから『犬のチンチン』のポーズを取って、女の子どころか、人間以下の存在に転落する。犬畜生に成り果てる。馬鹿ネズミに完全屈服してしまうのだ。
 言われるまま、桃香は膝を立てて足の裏で体重を支えた。和式トイレで用を足すような、ウンコ座りの体勢になる。影になってよく確認できないが、桃香の性器は正面から丸見えとなっているだろう。
 これだけでも十分恥ずかしい。それでもまだ終わりではない。桃香は招き猫のように肘を曲げ、両手を握り拳にして胸の前に掲げた。最後にカカトを浮かせて爪先立ちになれば、『犬のチンチン』のポーズが完成である。
 正面から見れば、おっぱいもオマンコも丸出し、丸見え。ある意味では土下座より恥ずかしい、降伏のポーズであった。それをカメラで撮影されているのも悔しいし、チンチンを見せている相手が忠一である事も無念である。もはや打ち砕かれるプライドさえも残っていない桃香であったが、この体勢は苦痛以外の何物でもなかった。
「いいザマだな、馬鹿桃香」
「ううっ……」
「犬みたいに鳴いてみろ」
 一体どこまで辱めれば気が済むのか。忠一を睨み付けて罵倒してやりたいと桃香は思ったが、しかし彼女ができる事は、媚びるような視線で彼を見上げ、ご機嫌を取るかの如く「ワンワン」と言うだけだった。自分自身ですら、自分のとっている行動に困惑している。既に心とは無関係に、身体が完全に男子に服従していた。それ程までに、昼間見た耶美のレイプの惨状が、その恐怖が、網膜に焼き付いてしまっているのだ。
「ワン、ワン!」
 いくらレイプすると脅されているからといって、あの気の強かった桃香が、反論すらせずに犬の真似をした事は、クラスメイトたちにとっても衝撃だった。
「ひひひ、最高だ。馬鹿桃香、その場で三遍回ってワンと言え」
 そんな理不尽な命令にすら、もう桃香は逆らわない。四つん這いの姿勢になると、性器と肛門を見せつけるかのようにその場で三遍回転し、素早くチンチンの姿勢に戻って「ワン!」と言って見せたのだ。
 もうかつての羽生桃香はどこにもいない。
 クラスの全員にそう知らしめるには十分すぎる有様だった。強気で好戦的で、果敢に男子軍に挑み、女子軍を統率し、多くの男子を恐怖のどん底に落とし込んだ……あの無敵の少女の姿は消え失せてしまっていた。
 今ここにいるのは、女子軍リーダーでもあった羽生桃香にそっくりな姿をした、ただの哀れな雌犬である。忠一のような情けない男子にも抵抗できず、人間の尊厳を踏みにじるような命令にも粛々と従い、惨めな犬の真似すら平然とこなす、人間以下の存在。男子に逆らおうという気概を根こそぎへし折られてしまった、ただの一匹の畜生に過ぎなかった。
 女王様のように振る舞っていた羽生桃香は、今この瞬間、名実ともに五年二組の最下層の存在へと転がり落ちていったのだ。
「よし、じゃあ止めを刺してやる。馬鹿桃香、口を開けろ」
「ワン!」
 チンチンのポーズのまま、桃香は大きく口を開けた。年頃の女の子にとって、歯科検診でもないのに人前で大口を開ける事など、それだけで恥ずかしい事のはず。それなのに桃香は素っ裸のチンチンポーズでそれをやってしまっていた。
 当たり前なのだ。もう今の桃香はその辺の野良犬と同じ。女の子らしい羞恥心など、残っているはずもなかった。その証拠に、今から彼女は肉便器に成り果てる。それはセックス奴隷という意味ですらなく、文字通り男子のおしっこを受け止める、『肉で出来た便器』になるという事だ。畜生にまで堕ちた桃香が、畜生以下の存在に沈み込んでいく事を意味していた。
「あっしのおしっこが飲めて嬉しいか、馬鹿桃香?」
 忠一が半ズボンを下ろし、無毛のおちんちんを露わにする。桃香が数えきれないほど嘲笑した、短小包茎早漏の、何の価値もない役立たずのおちんちんだ。彼女の命令で、清司相手に童貞を捨てた事もあった。桃香にとっては足で踏みつけるしか存在価値の無い、そんなおちんちんから発射される忠一のおしっこを、今から桃香は口で受け止めて飲み干さなければならなかった。これが畜生以下でなくて、一体何だというのだ。
「はい、嬉しいです……忠一様」
 できるだけ大口を開けたまま、桃香はそう答えて馬鹿ネズミに媚びへつらった。彼はそんな桃香を鼻で嗤い、指先で小指のようなおちんちんを摘まむと、口めがけて一気に放尿を開始していく。
「ひっ」
 第一波は右目に命中してしまった。瞼の内側にまでおしっこが染み込み、桃香はたまらず右目を閉じるが……しかし口は決して閉じようとしない。それは意地と言うより、レイプへの恐怖が強いた行動であった。
 やがて軌道修正された忠一のおしっこが、桃香の口の中に注ぎ込まれていく。生暖かくてアンモニア臭い黄色い液体が、みるみる口内を満たしていくのだ。その間、桃香はチンチンポーズのまま微動だにしない。惨めの極みだった。生き恥を晒すというのは、まさにこんな有様を言うのだろう。
 かなり排尿を我慢していたのか。彼のおしっこはまだまだ勢いが衰えなかった。桃香の口内におしっこが溜まっていくと、さらに忠一はわざと軌道を変え、桃香の額におしっこが命中するように性器の向きを調整していく。額で跳ねた尿は、放射状に桃香の顔面を流れ、首筋を伝って鎖骨からおっぱい、さらにその下の下腹部へと垂れ流れていった。もちろん髪の生え際にもおしっこは染み込んでいく。シャンプーとリンスで整えられていた綺麗な髪は、今や泥とおしっこで見る影もなく汚染され尽していた。髪は女の命と言うが、その命をここまで蹂躙された桃香は、もはや死んだも同然だ。
 あえて言うなら、桃香はもう女でも人でも犬畜生でもなく、ただの便器――。それゆえ、髪が汚れても気にする必要など全く無いのだが。
「いやぁ、すっきりした」
 満足げに呟き、忠一は尿道を締めて最後のひと絞りを放出した。おしっこの砲弾は見事桃香の鼻に命中。その一部は鼻の穴を通って口内へと流れていった。全身をアンモニアまみれにされた桃香の周囲の新聞紙は、流れ落ちたおしっこですっかり濡れそぼり、不快な湿地帯へと変貌している。
 口笛を吹きながらおちんちんをしまう忠一の様子を見上げながら、桃香はそのままの姿勢で次の命令を待った。尿が染み込んだ右目はまだ痛くて瞼を開けられない。左目にも、眉毛から滴り落ちるおしっこが容赦なく侵入してきていた。
 ともあれ、早く口の中に残ったおしっこをどうにかしなければならない。どうにかしなければならないが……次に強要される事は、桃香自身が一番よく分かっていた。かつて耶美が奴隷になりたいと申し出てきた際、忠一に『その命令』を下したのは、他ならぬ桃香本人なのだから。忠一が容赦なく言い放つ。
「馬鹿桃香……お前本当に馬鹿だな。口の中に入れたものは飲むに決まってるだろうが」
 ああ、やはりそう命じられるのか……。右目を開ける事もできないまま、おしっこまみれの桃香は観念した。
「さっさと飲めよ。一滴でも零したら承知しないぞ」
 桃香が忠一を甘やかすつもりなどなかったように、忠一もまた桃香に温情をかけるつもりは一切ないようだ。桃香をいたぶり尽くす事で、自分がその仕返しにいたぶり尽くしてもらえると思い込んでいるのだから。そんな事をしても無意味だと、今ここで言ってみたところで、礼門の入れ知恵を盲信している彼を説得するのは不可能と思われた。
「ム……ムグゥ……。ガホッ! ガホォッ!」
 そして不可能なのは、忠一のおしっこをゴクゴクと呑み干す事もまた同じである。口一杯に注がれたそれを喉を鳴らして呑み干すのは、考えるまでもなくハードルが高すぎた。
「ウゲェ、ゲェェッ!」
 目を白黒させて、桃香は顔を伏せておしっこを吐き出す。口から溢れ出した忠一の黄金水が、既に十分おしっこを吸い込んだ新聞紙へとさらに広がっていった。
「きたな……この馬鹿桃香! 何やってんだ間抜け!」
「ごめんなさい……ごめんなさい忠一様ぁ! 申し訳ありませぇん!」
「あっしが飲めって言ったら死んでも飲むのが犬の仕事だろうが! アホ! カス! 死ねよ役立たず!」
「許して下さい……。許して下さぁい!」
 おしっこ溜まりの中ですぐさま桃香が土下座する。考えるより先に身体が動いていた。忠一は土足で彼女の頭を踏みつけ、おしっこの中に顔面を浸してやる。つい先日、教室の中で繰り広げられた光景が、立場を逆転してそっくりそのまま繰り返されている構図だ。
 唯一の救いは、以前の光景を見ていたのが礼門と耶美と鮫島の三人だけで、クラスメイトのほとんどはそれを知らないという事か。このやり取りでどれだけ桃香が屈辱を味わっているのか、彼らはあまり理解していないだろう。女王様として忠一を奴隷扱いし、虐め抜いた桃香が、それと全く同じ仕打ちをまさにその忠一から受けている。考えうる最低最悪の屈辱であった。
「あーあ、吐き出しやがった。これでもう終わりだな」
 礼門が愉快そうに言い放つ。
「馬鹿桃香が処女を守りたいって気持ちはしょせんその程度。試すまでもなかったか。予定通り、俺が処女膜ぶち抜いてやるよ。甲守みたいに泣きながらヒィヒィ喘ぐがいいさ」
「そ、それだけは……」
 たっぷりと忠一のおしっこを吸い込んだ新聞紙に顔面を踏み敷かれながら、桃香が懸命に懇願する。動揺すれば動揺するほど、記憶の中に刻み込まれたレイプの恐怖だけが影のように膨れ上がり、桃香の心を容赦なく圧迫していった。
「お願いします……お願いします礼門様! それだけは許して下さい! 何でも言う事聞きますから……。だから、許して下さい……」
 度重なる恥辱の果てに、もはや正常な判断力を完全に失っている。礼門にとってはさぞ愉快な光景だろう。だが彼は、意外にも不満げな表情で、無言のまま桃香の醜態をカメラに収めていた。気のせいか、小さく舌打ちしたような気もする。一体何を考えているのか……桃香は、礼門の無言の沈黙が怖かった。
 そして数秒の後。
 彼はわざとらしい溜息と共に、吐き捨てるように言い捨てた。
「――全く、情けねぇ。甲守の奴とは大違いだな」
「え?」
 どうしてここで耶美の名前が出てくるのか。桃香にはまるで話の流れが読めない。
「お前だって知ってるだろ。甲守はマンコの中を見られたって泣かなかったし、レイプするって脅しても平然とそれを受け入れやがった。俺は案外、あいつのそういうところは買ってるんだぜ? ちょっと強く出ればすぐに泣きながら命乞いするような、そこらの雑魚女子とは訳が違うってな」
 その耶美ですら、実際にペニスをねじ込まれれば、泣きながら屈服せざるを得なかった。それが桃香に強い恐怖心を刻み込んだのだが……礼門はさらに言葉を続ける。
「ガッカリさせてくれるぜ。あれだけ白鷺の奴と激しい鍔迫り合いを繰り返してきた羽生なら、同じくらいの強さを見せてくれるって思ってたのによ。それがどうだ? 裸にされてレイプされそうになったらあっさり命乞いか? つまんねぇ真似しやがる。たとえ処女を奪われても、プライドまで奪われなければお前の勝ちだったのに。……けどもう、それも終わりだな。お前の負けだ。お前は白鷺だけじゃなく、俺や根墨にまで負けたんだよ」
「負け……あたしが……」
「結局、お前はそこらの雑魚女子と同レベルの、下らねぇ女だったってわけさ。甲守や、まして白鷺とはレベルが違い過ぎる。男子女子戦争で勝てなかったのも当然だな」
 礼門の目配せで、忠一が足を動かした。圧迫感から解放された桃香がゆっくりと姿勢を起こしていく。
「この有様を遠くから眺めている白鷺や甲守も、さぞ内心馬鹿にしてるだろうな。潔く処女を捨てる事もできず、みっともなく命乞いするお前の無様な格好をさ」
 礼門の演説は実に巧みであった。身も心もボロボロだった桃香に揺さぶりをかけ、かつてのプライドを呼び戻し、宿敵の少女の名前を引き合いに出して絶妙にこれを刺激する。桃香の部下としてこき使われる間に、彼はここまでの弁論術を身に着けたのである。力ずくでレイプするしか能の無かった、かつての単細胞馬鹿ゴリラは、もはや片鱗すら見受けられなかった。
「あ、あたしはまだ……負けたわけじゃない!」
 まんまと思考誘導されている事にも気づかず、桃香が最後のプライドを振り絞った。そんな物にこだわればこだわるほど、苦しみが長く続くとも知らずに。
「ヘッ、負け犬に限ってよく吠えるぜ。しょせん口だけのくせに。『こんなみっともない醜態は晒さないわ』なんて偉そうに言ってたのはどこのどいつだ?」
「うるさい! 犯したけりゃさっさと犯しなさいよ! あたしは負けたりしない……耶美みたいな醜態は晒さない!」
「なら自分でマンコ開いてみせろや。どうせ出来やしねぇだろうけどよ」
 桃香は完全に礼門のペースに乗せられていた。傍から見ればどうしてこんな手に引っかかるのだろうという気もするのだが、視野狭窄に陥った人間の行動はこんなものだ。オレオレ詐欺とか振り込め詐欺に代表される、特殊詐欺と同じで、冷静さを欠いた人間は普段では考えられないミスを犯してしまう。
 桃香はおしっこ溜まりの中で仰向けになり、両足を持ち上げ、見事なまんぐり返しの体勢を取った。中途半端に生えた陰毛が明るい電灯の下でハッキリと公開される。
「ほら、これでいいんでしょ! 何よこんなポーズくらい、どうって事ないわ!」
 彼女の最大のコンプレックスだった陰毛は、デルタ地帯全体のみならず、性器の周辺にまでしっかりと生え揃っていた。お尻の穴の周りまではさすがに生えていないが、ここが発毛するのも時間の問題だろう。そして毛は全てまだ細くて短い。忠一のおしっこか、それとも別の液体で濡れたのか、皮膚に張り付いて縮れていた。
「ああ? 俺はマンコ開けって言ったんだぜ? それでマンコ開いたつもりか? 往生際が悪いな。少しは甲守の奴を見習えよ」
 桃香が唇を噛む。彼女も薄々、自分がいいように礼門の口車に乗せられている事には気付いていた。かつて解剖授業の時に、そうやって思考誘導して耶美から失言を引き出したのは桃香本人だ。それをそっくりそのまま自分にも応用されて気付かないはずが無かった。しかし同時に別の事にも気付いてしまったのだ。
 即ち、たとえ思考誘導に感づいた所で、一度乗せられてしまえばもう……引っ込みがつかないという事に。
「わかった……わよ」
 そしてとうとう、桃香の指が左右から大陰唇に宛がわれる。本来であればここを晒す事で、女子としての完全敗北となるのだが、あまりに苛烈な羞恥刑の連続は……とっくに彼女の心を壊してしまっていた。
「み、見たければ好きなだけ見ればいいわ。男子なんかに見られたって……。こんなの……へ、平気……なんだか……ら……」
 精一杯虚勢を張ったセリフを吐き、桃香は少女の秘密の花園を開陳していった。大陰唇が左右に開かれ、ピンク色の粘膜の全てが電灯の光に暴かれていく。身体の内側にまで空気が入り込んでいく感覚に、彼女はビクリと身体を震わせた。不本意ながらそこは愛液に満ち満ちておいる。スリットが開かれた事でトロリと粘液が溢れ出る始末であった。
「うわっ、すげぇ……」
 感想を漏らしたのは雑魚男子の一人だ。おしっこを呑ませるという、普通の五年生ではとても思いつかないようなハードなプレイを目の当たりにして、男子も女子もヤジを飛ばす事さえ忘れてすっかり見入ってしまっていた。男子にとって垂涎の的である女性器の中身が目に飛び込んできて、ようやく我に返ったといったところか。しかしさっきまでの盛り上がりには程遠かった。想像を超えた光景の連続に、彼らの興奮はすっかり冷めてしまっている。
「ヘッ、少しはやるようだな。おい根墨、お前が一番にブチ込んでやれ。今まで散々お前をこき使ってきた、身の程知らずの馬鹿女に思い知らせてやればいい」
「え? あっしが、ですか?」
「初体験なんて一生に一度だからな。その記念すべき初めてをお前が奪えば、お前は一生馬鹿桃香に恨まれ続ける事になる。最高だろ?」
 あれだけ桃香の処女膜にこだわっていた礼門が、一体どういう風の吹き回しなのか? さすがに忠一のおしっこまみれの姿を見て萎えたのか? いやそもそもおしっこを呑ませると宣言したのは礼門自身である。ならばこれも桃香を辱める策略の一環であると思われた。何を企んでいるのだろう……。もっとも、彼の真意に気づいたところで、桃香にはどうする事もできないのだが。
「ひひひ……じゃあ挿入するぞ、馬鹿桃香」
 忠一が再び半ズボンを下ろし、勃起した性器を曝け出す。そして膝立ちで進み、とうとう己のおちんちんを桃香の性器に接触させた。相手はおしっこまみれだが、自分の尿であるためか、気にする様子はない。
 いよいよ、桃香の記念すべきロストバージン……その最低最悪の凌辱ショーが幕を開けようとしていた。




 あまりにも醜悪な光景に、みどりはたまらず目を背けてしまった。
 とても見ていられない。
 胸の締め付けられる惨状だった。
 確かに、彼女が桃香への復讐を願っていたのは事実だ。クラスメイトの目の前で、軽蔑する馬鹿ゴリラに処女を散らされ、泣きながら中出しされればいい。そう思っていた。相手が忠一になったのは予想外だが、むしろ桃香にとってはその方がより屈辱だろう。ロストバージンの一部始終を見届ける事で、ようやくみどりの復讐が完全に成し遂げられるのだ。
 しかしいざその光景を数刻後に目の当たりにすると実感した時、みどりの心に広がったのは、充足感でも達成感でもなかった。ただ単に、不愉快な気持ちになっただけである。
 こんなはずではなかった。
 もっとスカッとした気持ちになるはずだった。
 レイプされた心の傷が少しは癒えるはずだった。
 復讐の快感を味わえるはずだった……。
 結局、桃香がズタズタに弄ばれる姿を見届けたところで、自分の傷が癒える事は無いし、楽しい気持ちにもならなかったのだ。レイプされたという事実は何も変わらない。むしろ自分を辱めた礼門にわざわざエサを与えただけである。こんな事なら――、最初から復讐なんて考えなければ良かった。
 辺りを見回すと、女子の多くは宿直室から姿を消していた。桃香が裸にされるまでは、ヤジを飛ばしたり囃し立てたりして楽しんでいたようだが、飲尿プレイの実演や中出しレイプの下準備を見せつけられては、さすがに引いてしまうのも無理はない。明日も早いのだ。いつまでもこんな下品なショーを見続ける義理もなかった。
 ――私も、もう部屋に戻ろう。
 そう思って、みどりは踵を返した。俯いたまま歩き出したため、誰かと肩がぶつかってしまう。
「あ、ごめんな……」
「逃げるの?」
 みどりの言葉を遮ったのは、肩の当たった相手……。耶美だった。その視線は氷のように冷たい。むしろ軽蔑の念すら籠っていた。
「に、逃げるって……。いったい何の事よ?」
「桃香に復讐しようと思って、男子軍や姫乃に協力したくせに、その行く末を見届ける事なく立ち去る。誰が見たって逃げてるじゃない。卑怯だわ」
 相変わらずの無表情で言い放つ耶美。何なのだ? どうして途中で退室しようとしただけで、ここまで食って掛かられなければならないのだ? みどりも向きになって反論する。
「意味わかんないんだけど? そりゃ、私が桃香に復讐したいと思ったのは事実だわ。だからって、なんでこんな馬鹿げた見世物に最後まで付き合わなきゃいけないわけ?」
「その馬鹿げた見世物が、あんたの行動が招いた結果だからよ。あんた一人の責任じゃないけれど、間違いなくあんたも共犯者。それなのに途中で逃げるなんて許さない」
「べ、別に許してくれなくてもいいし」
「桃香がどうなってしまうのか、最後まで見るのが怖いんでしょう? そんな逃げ腰になるくらいなら、最初から復讐なんて考えなければ良かったのよ。意気地なし」
 痛いところを的確に突いてくる耶美の言葉に、みどりは言い返す事ができなかった。彼女の言い分は全て真実だからだ。
 みどりは桃香への復讐を願ったくせに、その結果として彼女が想像を絶する凌辱刑を受けている姿に直面すると、怖くなって目を背けたくなってしまった。桃香があそこまで堕ちてしまった原因の一つが自分にあるなどと、認めたくなかった。だから逃げる事にした。
 人から言われてみると改めて、自分の身勝手さが明確に浮かび上がってくる。直面せざるを得なくなってくる。そしてそれを認めたくない自分の気持ちにさえも。
「……まぁいいわ。私は私の使命を果たすだけ。あと少しで全ての決着が着く。途中で放り出して逃げ出すような卑怯者は、邪魔だけはしないように引っ込んでいてちょうだい」
 使命……? 見ると彼女は手に大きな角封筒を持っていた。一度宿直室から出て、この封筒を取りに部屋まで戻ったのか? 桃香の成れの果てを見届ける事よりも優先したくらいだ。よほど大事な封筒なのだろう。
「ちょっと……待ちなさいよ!」
 みどりを無視するように、耶美は宿直室の奥へ歩いていく。人の数はかなり減っていて、目的の人物を探し出すのはそう難しくないようだった。一直線にその人物……白鷺姫乃の元へと進んでいく。彼女は壁に背を預け、つまらなさそうに桃香の痴態を遠くから眺めていた。
「姫乃。言われた封筒を持ってきたわ」
 みどりが追いつくのとほぼ同時に、耶美は手の角封筒を姫乃に差し出す。
「ありがとう。使って悪かったわね」
「気にしないで」
 あの封筒は耶美の持ち物ではなく、姫乃が持ってきたものらしかった。姫乃の代わりに耶美がお使いに出されたという事だろう。姫乃自身が取りに行かなかったのは……それこそ、耶美の言う『見届ける責任』という奴か?
 封筒を受け取った姫乃は、耶美と共にさらに移動を始めた。どこに行くつもりなのか? そしてあの封筒は一体何なのか? どうにも気になって、みどりもその後を追った。桃香が戦死した今、耶美が次に取るべき行動は、姫乃を男子女子戦争の最終勝利者にする事。それは間違いないだろう。だとすれば二人が目指している先にいる人物の見当はつく。
 恐らく姫乃が最後に戦う相手。男子軍最後の生き残り。
 即ち――。
「虹輝くん」
 やはり、犬飼虹輝であった。
「姫乃……さん?」
 彼もまた、やはり壁にもたれかかって遠くの凌辱ショーに視線を向けていた。その傍らには士郎や清司の姿も確認できる。こんな壁際ではよく見えないだろうに……それでも部屋に戻ろうとしないのは、これも『見届ける責任』を感じているからかもしれない。
「何か、用?」
 虹輝の顔は浮かなかった。せっかく女子軍の強敵を倒したにも拘わらず、あまり喜びを感じていないらしい。そんな彼のコンディションなど無関係に、姫乃と虹輝の会話はどんどん進んでいく。
「――ねぇ虹輝くん。そろそろ決着を付けましょう?」
「決着?」
「女子軍最後の生き残りは、私。男子軍最後の生き残りは、虹輝くん。長かった男子女子戦争も、いよいよ終戦の時が来たのよ。明日には自然教室も終わるわ。それまでに戦争の決着を付けて、自然教室が終わった後は、平和な五年二組でみんな仲良く遊びや勉強に励みたいの。やっぱり平和が一番よね」
「う、うん……」
 平和が一番、か。
 誰だってそう思っているに決まっている。戦争が無くなって困るのは、戦車やミサイルを作っている人達だけだろう。それなのに現実では今も世界中で、飽きもせずにあちこち戦争が起きている。平和が一番だと思っているのに、誰も平和を守ろうとしない。それは『平和』の定義が人によって全く異なるからだ。
 男子女子戦争にしたって、男子軍の『平和』と女子軍の『平和』は全く異なる。男子軍にとっての『平和』とは、女子が男子に服従し、たとえ女子を辱めるような命令をしても、女子が粛々とこれに従ってくれるような世界だ。そんなもの、女子軍にとっては『平和』でも何でもない。逆に女子軍にとっての『平和』は、男子が女子に服従する世界。それを喜ぶ男子はせいぜい忠一くらいなものだった。
 結局、『平和』を勝ち取るためには、戦争に勝つしかない。戦争にあるのは『勝つ』か『負ける』かだけ。勝てば天国負ければ地獄……それは男子女子戦争においても何ら変わる事は無かった。
「姫乃さん、その事なんだけど……」
 虹輝が何か言いかけるが、彼女はそれを制するように、持っていた封筒を押し付けた。そして毅然と、宿直室全体に響き渡るような大声で、高らかに宣言する。
「虹輝くん。あなたに決闘を申し込みます!」
 室内にいた全員が……桃香の周囲に集まっていた男子や、今まさに桃香を凌辱せんとしている忠一、ビデオカメラを構えていた礼門までもが、一斉に姫乃に注目する。
「みんな聞いて! 虹輝くんは私の申し出を受けてくれたわ。明日のスポーツレクリエーションの時間に、私と一対一の決闘をしてくれる。これが男子女子戦争の、正真正銘、最終最後の戦いよ!」
「ちょっと待って、僕は……」
 決闘を受けるなんて言ってない――。という虹輝の言葉は、クラスメイトたちの歓声にかき消されてしまった。桃香を倒して勢いに乗る男子たちは、いいぞよく受けたとばかりに気勢を上げ、桃香を失った女子たちは、珍しく率先して戦いに臨む姫乃に称賛の言葉を浴びせる。彼が姫乃から渡された封筒を手に持っている事も、勘違いを加速させる原因だった。
 何とまぁ、おめでたい連中だろう。
 みどりは内心呆れていた。雑魚男子も雑魚女子も、誰一人として姫乃の真意に気付いていない。もっとも、みどり自身どこまでそれを推察できているのか自信は無かったが……。少なくとも馬鹿騒ぎしている連中よりは洞察は深いつもりだ。
 次の戦いをどうすべきか、みどりもみどりなりに考えていた。その結論が、まさに今姫乃が宣言した、一対一での決闘に他ならなかったのだ。だから彼女は姫乃の考えている事が手に取るように分かった。
「決闘の内容は、『脱衣カードゲーム』よ。虹輝くんに渡した封筒の中に、詳しいルールを書いた紙と、対決に使う新品のトランプが入っているわ。ルールを考えたのは私だから、公平を期すために、トランプは明日まで虹輝くんに預かっていてもらう」
 脱衣……カードゲーム?
 姫乃らしからぬ破廉恥な単語が飛び出し、クラスメイトたちの間にざわめきが広がっていく。カードゲームと言っても色々あるが、一体何をするつもりなのか。まさか運任せのゲームで最後の勝敗を決めるつもりではあるまい。姫乃がルールを考えたと言っていたが……。
 姫乃に促されるように、虹輝は封筒の中身を取り出した。何枚かの書類と、ビニールパックされたままの市販品のトランプ。どこにでも売っているような平凡なカードだった。姫乃は桃香に勝った場合に備えて、あらかじめゲームのルールを考え、旅行鞄の中にトランプを入れておいたのだ。もし桃香に負けてしまったら全て無駄になったろうに、随分と周到な事である。
 それに周到なのは準備だけではない。
 姫乃はトランプを虹輝に預ける事で、自分が考えたルールで勝負する事をあたかも公平であるかのように錯覚させていた。実際のところ、ビニールパックそのままのトランプを持っていても、何の細工を施す事もできない。普段の学校生活を送っている中なら、カッター等で一度開封した後、カードに小さな目印を書き込むなどのイカサマを行い、接着剤を使ってビニールを元に戻す事も可能だろう。或いは、全く同じトランプを買ってきて、それをポケットに忍ばせる事でゲーム中にイカサマもできるかもしれない。
 だが今は自然教室の最中だ。この山深い施設の敷地内から外に出歩く事はできない。手に入る工具は限られているし、同じトランプを買ってくるのは不可能。つまり何らかの細工をしようと思っても、結局は何もできないのである。
 ゲームのルールがどんなものなのかは不明だが、あまりに女子に有利な内容なら男子からブーイングが出てしまう。姫乃の事だ。一見公平に見えるが、実は幾つか相手を出し抜ける落とし穴を仕込んであるに違いない。虹輝にそれを見抜く力は無いだろう。
 そう、この決闘の最大のポイントは、姫乃と虹輝の一対一の対決だという点だった。
 桃香を倒して勢いづいている馬鹿な雑魚男子は気付いていないが、一対一なら姫乃の方が圧倒的に有利なのは考えるまでもない。公平なルールに基づくゲームである以上、条件は同じだとでも思っているのか? ルールを考えたのが他ならぬ姫乃だというのに?
 そして仲間の女子の助けを借りられないという点も、実は姫乃にとっては大いなるメリットなのである。なぜなら、今の女子軍は内部統制がガタガタで、とても団結して男子軍と戦える状態ではないのだから。
 いくら桃香の悪行を暴いて失脚させたとはいえ、姫乃が耶美を使って利敵行為を働いた事実に変わりは無い。一貫して姫乃を支持していた女子ならともかく、一度桃香についた女子にしてみれば、姫乃の指揮で戦う事に抵抗がある者も少なくはないはずだ。そんな状態で総力戦に挑めば、女子同士で仲違いの末、総崩れになって男子軍に敗北を喫するのは目に見えていた。一対一での戦いは、雑魚女子の助けが借りられないのではなく、雑魚女子に足を引っ張られる危険が無い、というメリットしか存在しない。そんな事にも気づかず、決闘の提案を称賛している雑魚女子の馬鹿さ加減には呆れる他なかった。
 それに姫乃のお蔭で桃香を倒せたとはいえ、勝利した軍団の勢いというものは侮れない。高嶺の花だった白鷺姫乃を裸にして徹底的に辱めたい……というエッチな目的で結束した彼らの団結力は、虹輝個人の弱さをカバーするには十分過ぎた。何より、虹輝の好きな女子は姫乃なのだ。彼が恋心に負けて手心を加える可能性は少なくない。総力戦を選べば、その折角のウィークポイントも雑魚男子たちによってカバーされてしまう危険があった。
 だからみどりは、最後の戦いは一対一の決闘にすべきだとの結論に達したのである。それを提案する前に、見事に姫乃が実行に移すとは思わなかったが……。しかも脱衣カードゲームなどという、おおよそ姫乃が考えるとは思えないような破廉恥な方法で。
 恐らくこれも彼女の策略の一つに違いない。どんな策略なのかはみどりには皆目見当もつかないけれど、姫乃ならばきっとやってくれる。彼女に限ってミスはありえない。みどりはそう確信していた。
「ひ、姫乃さん……。どうしてこんな事を……」
 巧妙に騙し討ちにされてしまった形の虹輝は、恨みがましい視線を隠そうとしなかった。甘ちゃんの彼の事だ。もしかすると姫乃との話し合いで、戦争を引き分けという形で終わらせよう……などと提案するつもりだったのかもしれない。そんな事、今も傍にいる士郎や清司が許すはずもないだろうに。
「決闘の申し出を受けてくれてありがとう、虹輝くん。明日の対決、楽しみにしてるわ」
 虹輝の視線など意に介さず、姫乃は涼しい顔で立ち去っていく。もう一度、元いた場所まで戻るようだ。耶美も無言のまま後に続いた。
 そう言えば、一つ気になる事がある。
 士郎や清司の動向だ。馬鹿な雑魚男子ならともかく、この二人なら姫乃の策略にも気づいたはず。それなのに口を挟もうともせず、虹輝が決闘を受けたというでたらめな既成事実もすんなり受け入れていた。どういうつもりだろう? 総力戦より一対一の方が有利だとでも思っているのか? それとも何か策でもあるのか? 或いは……。
 まぁいい。
 今のところ事態は女子軍有利に進んでいる。姫乃ならばきっと虹輝を倒し、女子軍を勝利に導いてくれるだろう。みどりの確信は揺るがなかった。




「チッ、白鷺の奴……こっちが馬鹿桃香にかかりっきりになってる隙を狙いやがったな。相変わらず喰えねぇ女だぜ」
 礼門は忌々しげに言い捨てた。まさか最後の勝負で一対一の決闘を仕掛けてくるとは予想していなかったのだ。姫乃と虹輝のタイマン勝負とあれば、どう考えても虹輝に勝ち目はあるまい。残念だが男子女子戦争は女子軍の勝利に終わりそうだった。
 まぁ礼門にとってはどうでもいい事だった。戦争に女子軍が勝って、女子が五年二組の中で幅を利かせたとしても、適当にあしらっておけばいい。そして隙を見て改めて白鷺姫乃を罠にかけるのだ。具体的なプランは何もなかったが、どんな手を使ってでも必ず姫乃を素っ裸にひん剥いて、ありとあらゆる恥辱の限りを与え、女に生まれてきた事を心の底から後悔させてやるつもりだった。何なら鮫島に協力を仰ぐという手もある。
 それに勝負は最後まで分からないものだ。
 公正なルールに基づくカードゲームなら、何かの間違いで虹輝にも勝利のチャンスが訪れるかもしれない。士郎や清司が口を出さなかった事からも、勝算はゼロではあるまい。付け加えると、『脱衣カードゲーム』という名称から察するに、たとえゲームに勝ったとしても、その過程で何枚か服を脱ぐ状況には追い込まれそうだった。上手くいけば姫乃のブラやショーツくらいは見られる可能性もある。それだけでも儲けものだ。
「とりあえず、今はコイツからだな。根墨、さっさとやっちまいな」
「へい、了解しました」
 再びカメラを構え、礼門が指示を出す。
 忠一のおちんちんは最大に膨らんでも小指サイズしかなく、桃香の性器は既に濡れそぼっているため、挿入自体は何の問題もなかった。タンポンを入れるようなものだ。
 礼門がみすみす忠一に一番手を譲っているのもそのためである。彼の短小包茎早漏おちんちんでは、挿入したところで処女膜に傷すらつける事はできない。なら自分が先に処女を頂くより、顎で扱っていた忠一に最初の膣内射精を任せた方が、より桃香の屈辱も大きくなるはずだ……。単なる筋肉馬鹿だった礼門は、今や桃香並みかそれ以上に悪辣な策士に成長しつつあった。男性の肉体に対する知識がある分、桃香より厄介な面もあるだろう。
 桃香の初体験を、恥辱と屈辱にまみれさせ、一生苦しみ続ける心の傷を負わせるためならば、自分の快楽と欲望さえ後回しにできる。他人の尿や精液で汚してしまっても気にせず凌辱できる。礼門はそれだけのタフな精神力を身に着けていたのだ。
 途中、ちょっと力加減を間違えて桃香を追い込み過ぎてしまったが、上手く思考誘導して強気の態度を回復させる事はできた。まさか桃香があれほど打たれ弱いとは思っていなかったからだ。肉体を凌辱する前に精神を凌辱するのは最高の快楽だが、やり過ぎて精神を壊してしまったら元も子もない。貴重な教訓である。お蔭で、最大にして最後のメインディッシュ……白鷺姫乃を辱める際のいい予行演習になった。姫乃をいたぶる時はもっと上手く、もっと卑劣なやり口で苦しませる事ができそうだ。
 いやそれとも――。
 あの白鷺姫乃であれば、今の桃香ほどの辱めを受けても、なお凛とした精神を保っていてくれるだろうか。女なんて挿入してしまえば、泣き叫ぶだけの哀れな生き物だと思っていたが、もしかすると姫乃だけは、それでも高潔な自我を保って恥辱に耐えてくれるかもしれない。いやそうあるべきだ。白鷺姫乃ほどの少女ならば、それくらい強くて賢くて逞しくて、そしてカッコ良くなければ。
 そうでなければ、彼女の気高い魂をへし折り、完全に屈服させる楽しみも小さなものになってしまう。今までさんざん煮え湯を飲まされた相手だ。ちょっとやそっとで負けを認めてもらっては困る。白鷺姫乃は、たとえ身体を穢されてもなお、高貴な美しさと清楚な心の強さを保っていなくてはならなかった。それをこの手で、見るも無残に壊してやるのだから。
 待っていろ白鷺姫乃……。その楚々とした知性溢れる美貌を、徹底的に汚し尽くしてやるやるからな。
 カメラを構える礼門は、早くも次のターゲットへと、意識を向け始めていた。
「じゃあいくぞ馬鹿桃香。処女卒業の覚悟はいいか?」
 一方、忠一は性器同士を密着させ、いよいよかつての主に牙を突き立て始める。だが彼が高らかに宣言しても、桃香の反応は強情なままだった。「好きにしなさいよ!」と明らかな強がりで虚勢を張るほどだ。その言葉にほくそ笑み、忠一は遠慮なく腰を前に突き出していった。
 ニュルリ、という粘膜の滑りと共に、今まで誰の侵入も受け入れてこなかった桃香の性器に、忠一のおちんちんが埋まっていく。小指のようなその肉棒は、礼門の予想通り、処女膜を傷つける事なく根元まですっぽりと収まっていった。
 短小包茎早漏、その上男子のお尻で童貞を捨てた、役立たずのゴミのようなおちんちんが、桃香の身体に侵入した記念すべき最初のおちんちんとなった。
 果たしてこれは処女喪失に当たるのだろうか?
 処女膜が無事なら喪失には当たらないのではないか? しかし現に忠一のおちんちんはしっかりと桃香の性器を貫いていた。逆にこれが喪失ならば、指を挿入するオナニーやタンポンの出し入れとどこが違うのか? 男子に指を入れられたらそれで処女喪失なのか?
 まぁ処女信仰などとはしょせんその程度。こだわるのも馬鹿馬鹿しいという事だ。DNA鑑定など無かった時代に、確実に自分の子孫を残し血統を保つため、処女が重宝された……それだけの事である。礼門にとって大切なのは、処女そのものではなく、処女を無理矢理奪ってやったという事実の方だった。かけがえのない『初めて』を踏みにじってやる事で、相手に最大級の屈辱を与え、自分が最大級の快楽を得る。重要なのはそこだ。
 だから桃香に精神的な苦痛を与えるためならば、自分が一番に犯さなくても構わない。礼門はそう思うようにさえなっていた。鮫島が姫乃の処女にこだわらないのもこの為だろうか? 姫乃の処女だけは絶対に譲る気はなかったが、一方であの外道教師の考え方も、一理あるという気がする。
「ああ、凄い……凄いです桃香様!」
 忠一が感嘆の声を上げた。あまりの感激に口調が素の状態に戻ってしまっている。いや、これはこれで逆に桃香の心をかき乱すかもしれない。自分をレイプしている相手に様付けされるなんて、こんなふざけた話もないだろう。
 当の桃香はというと、ただ屈辱に耐えて顔を背けるだけだった。処女膜が破れていないなら痛みもなかろうが、汚辱感はひとしおに違いない。何せ自分が今まで幾度となく土足で踏みつけてきたペニスが、自分の身体の中に入り込んでいるのだから。奴隷扱いしていた情けない男子にいいように犯されている。初体験に思いを馳せる度、桃香は今夜の屈辱を回想せざるを得ないのだ。この記憶は死ぬまで消えない。それは死にも勝る辱めであった。
「こ、これが桃香様の中……。ああ、もう出ちゃいますぅ!」
 さすが短小包茎の役立たずおちんちん。早速射精してしまうようだ。相手に性的快感を与える事も無く、単なるオナホールとして利用し、自分の快楽だけを貪る……レイプはこうでなくてはならない。単なる穴として使い捨てる事で、より一層、犯される少女に恥辱を味わわせる事ができた。
「ま、待ってよ……中に出す気っ? 冗談じゃないわ!」
「あああ、も、桃香様ぁ!」
「抜いて……っ! 抜いてってば馬鹿ネズミ!」
 さすがに膣内射精されそうとあれば、桃香も必死に抵抗せざるを得ない。先走り液の中にも精子が含まれているとはいえ、外に出されるのと中に出されるのとでは妊娠の危険は段違いであった。
 しかし忠一のセックスの経験はせいぜい二回……しかも女性の身体は今回が初めて。そんな彼に、射精をコントロールする余裕などあるはずもない。あっという間に果て、忠一は腰を打ち付けてビクビクと震えた。桃香が忠一のおちんちんを踏みつけた際、いつも決まって彼女の上履きを汚していたあの白い液体が、あろう事か桃香の一番大切な聖域の中でぶちまけられていく。
「しゅ……しゅごいですぅ……。桃香様の中が……こんなに気持ちいい……なんて」
 恍惚とした表情で腰を振り続ける忠一。対する桃香は、眉間に皺を寄せ、生まれて初めての膣内射精の悪寒にじっと耐えていた。
「なに……考えてんのよ……。嘘でしょ、妊娠したら……、どう……するつもり……?」
 一度挿入を許してしまえば、中に出すか否かを決定するのは男の方だ。妊娠によって責任と苦痛を引き受けるのは一方的に女だというのに、膣内射精の決定権は男の方にしか無い。これは自然が生んだ不条理であった。
 自然界には、基本的人権も男女平等も女性の社会進出という概念も存在しない。あるのはただ一点。いかに確実に、自分の種全体を繁栄させるかだけだ。ヒトという種が太く強く繁栄するのであれば、レイプによって子供が生まれても構わないというのだろう。
 望まない妊娠を避けるためには、メスは強くならなければいけない。そして妊娠というリスクを背負わないオスは、一人でも多くのメスに子種をまき散らすため、やはり強くなる必要がある。そうやって強い個体だけが子孫を残し、ヒトという種をより強く、より逞しく進化させていくのだ。自然界にはフェミニズムなどという考えは一切存在しなかった。
「ヘヘヘ……安心しろ馬鹿桃香。宇崎の時にも言っただろ? デキちまったら俺ん家でタダで堕ろしてやるってよ」
 礼門が嘲ると、彼女は唇を噛み締めて俯いた。自分がみどりや耶美に対して行った仕打ちがどれほど許されざるものであったか、同じ立場に立ってみて、初めて理解できたのだ。あまりにも遅すぎる悔恨である。
「おら、どけよ根墨! いつまで余韻に浸ってやがるんだ、後がつかえてるんだよ!」
 突き飛ばすように忠一を退け、礼門がデジタルビデオカメラを押し付ける。さっきから桃香にブチ込みたくてうずうずしていたのだ。凶暴なペニスは天に向かってそそり立ち、彼女の処女膜を食い破ろうと武者震いを見せていた。
「待たせたな、馬鹿桃香? いよいよ処女膜とおさらばさせてやるぜ?」
「あ……ああ……」
「どうした? 怖いのか? 甲守みてぇな醜態は晒さないんだろ?」
 ついに最期の瞬間が訪れた事を察し、桃香が顔面蒼白になる。しかし礼門に耶美の名前を……かつて自分が完全に打ち負かした少女の名前を出されれば、怯えを見せる事は許されなかった。既にICレコーダーに記録された失言で耶美に復讐されてしまった桃香だ。これ以上、彼女には負けられない。ペニスで性器を蹂躙されても、取り乱さずに耐えてみせる――。
 桃香のそんな意地は、しかし礼門の思考誘導の賜物であった。素っ裸にひん剥かれ、地位も権力もプライドも失った彼女は、憎き凌辱者の手のひらの上で踊らされている事にさえ気付かない。
「こ、怖くなんか……ないわ。そんな物、入れられたくらいで……あたしは負けたりしない」
「そうかい。喜べ、これでお前も大人の仲間入りだぜ」
 礼門のペニスが桃香の膣口に宛がわれる。彼女の愛液と忠一の精液が混じり合ったそこは、意外なほどあっさりと亀頭の先端を受け入れていった。
 そして次の瞬間。
「――あぎゃぁぁぁっ!」
 耳をつんざくほどの悲鳴が宿直室に木霊した。乱暴に突き入れられた礼門の肉棒が、桃香の粘膜を限界まで押し広げたのだ。ブチブチという裂傷の音が聞こえてくるような迫力であった。もちろんその一部始終は、忠一の構えるカメラで余すところなく記録されている。
「ひぎ、ひぐぅ!」
「ハッハッハ、なんだよその間抜けなツラは? それでも女子軍リーダーだった女か? ヨダレ垂らしやがって、汚ねぇ奴だな」
「痛……い……。痛ぁ……っ!」
 こうもあっさりと悲鳴を上げるとは。結局は桃香も、ごくごく普通の少女に過ぎなかったようだ。どんなに虚勢を張っても、ペニスをねじ込まれればこの有様。耶美も桃香もしょせんは雑魚女子なのである。心が強くても頭が良くても、観察眼があっても洞察力が鋭くても、レイプという単純暴力の前には成す術もない。泣きながら男に許しを乞う事しかできなかった。
 凌辱している側にとっては最高の気分だ。あれだけ偉そうに振る舞っていた桃香が、精神的な責めの連続に心をすり減らし、最後に肉体的な責めで身も心も完全敗北して降伏する。己の無力さを痛感して打ちひしがれる。これほど満たされた征服欲が他にあろうか。
「許し……て……もう……」
「許して下さい礼門様、だろ?」
 彼は両手を伸ばし、桃香の胸の膨らみを乱暴に握り潰した。痛みと嫌悪感で悲鳴を上げる。忠一の尿で汚れているのは気に食わないが、それによって彼女が味わった屈辱に思いを馳せれば、揉みしだく手にも力が籠るというものだ。乳首を指で転がし、摘み上げて捩じり伸ばしてやる。桃香が嫌々と首を左右に振った。
「許して……下さい、礼門様ぁ!」
 彼女の目から流れる涙は止めようもなく、嗚咽の合間を縫って屈従の言葉を吐く。打たれ弱さから見て想像は付いたが、やはり桃香ではペニスの暴力には勝てなかったらしい。ガッカリだな。
 これに打ち勝てる者がいるとすれば、きっと可能性があるのはあの女だけ。女子軍最後の生き残りにして、現在の女子軍リーダー。虹輝に一騎打ちを挑んだ、可憐なる少女。
 白鷺姫乃をおいて他にはないだろう。
「礼門様……礼門様……。助けて……下さい……。もう、二度と……。逆らい……ません……からぁ……」
 既に桃香には虚勢を張る気力も残っていない。無様に許しを乞う他なかった。これがあの高慢ちきな女王様のなれの果てか。しっかりビデオに録画してあるから、後でゆっくり見返して自分の恥を思い知るがいい。
 礼門は周囲の男子を見回した。女子はほとんど室内に残っていないが、男子は初めて間近で見るセックスに呆然と見入っている。プールの中よりは遥かによく観察できるだろう。耶美の凌辱ビデオはまだクラスメイトには出回っていないから、瞬きも忘れて視線を集中してくるのは無理もなかった。
「おいお前ら。そろそろ準備しておけよ?」
 声をかけると、雑魚男子たちは顔を見合わせる。
「もうすぐ中にブチ撒けるからよ。そうしたらお前らで馬鹿桃香を可愛がってやれ。童貞卒業できるいいチャンスだぜ?」
 彼らはかつて、解剖授業の際にも同様に声をかけられた事があった。素っ裸にされた耶美とのセックス実演。その時は恥ずかしがって誰も手を上げなかった雑魚男子たちだが……今回の躊躇は一瞬だった。彼らは我先にとズボンを下ろし、パンツを脱いで下半身を露出し始める。いずれのおちんちんも、皮の被った可愛らしいサイズ。ただし既に陰毛も生え、勃起してそそり立つ姿は一人前だ。
 恐らく、多くの雑魚男子たちは解剖授業の後、激しく後悔したのだろう。「あの時恥ずかしがらずにセックス実演に名乗りを上げておけばよかった」と。耶美ほどの美少女……しかも同性愛者で男に興味の無い少女とセックスできる機会など、この先どれほどチャンスがあるのか。どうせ虹輝以外の男子は全員、一度は女子に負けておちんちんを晒しているのだ。その時に撮影された画像は、今でも女子全員が所有し、いつでも好きな時に閲覧して優越感に浸っているはずだった。ならばクラスメイトの前でパンツを脱ぐ事にどうして躊躇う必要があるのか。たとえクラス全員から軽蔑されたとしても、童貞を卒業できるチャンスを逃す手は無かった。
 それゆえ雑魚男子たちはみんな心の中で思っていたのだ。「次にチャンスがあったら、絶対に迷わない」……。その「次のチャンス」が、今まさにこの瞬間なのである。皮肉にも、桃香は自分が仕掛けた解剖授業のために、今度は自分自身が輪姦の餌食になろうとしていた。
「さぁーて、そろそろフィニッシュだぜ桃香様? まだまだ後には控えてるんだ、こりゃ妊娠は確実だな」
「ううっ……」
「お前も今度からは女子らしく、男子の命令に逆らったりせず、悦んで服従する素直な女子になれ。分かったか?」
「はい……。分かりました、礼門様……」
 反論もままならず、成す術もなく凌辱者に首を垂れる。見るも無残な敗北の姿であった。満足げに微笑んだ礼門は、さらに抽送のピッチを上げ、ラストスパートをかける。あれだけ強いリーダーシップで女子軍を率いてきた桃香は、ただ情けない悲鳴を上げるだけで、ろくな抵抗一つ見せられなかった。
 最後に、一際強く礼門が腰を打ち付ける。
 それが合図だ。
 桃香の身体の一番奥。赤ちゃんを育てる大切な場所に、好きでも無い男子の精液が流し込まれていく。既に忠一の精液で汚し尽くされたそこが、さらに別の精液で塗り込められていった。もはや桃香の身体は、取り返しがつかないほどに辱められてしまったと言えるだろう。
 礼門がペニスを引き抜く。二人分の精液が掻き出され、血と愛液と精液が混じり合った粘液が、ドロリと性器から垂れ落ちていった。
「……フン、ごちそうさん。中々だったぜ馬鹿桃香? これで残るはあと一人だ……」
 みどりに耶美、そして桃香。礼門は今まで、狙っていた美少女の処女をことごとく奪う事に成功している。最後に残ったターゲットは姫乃ただ一人だ。彼女を凌辱する事で、礼門の野望は完全に成し遂げられる。
「白鷺を犯す練習台には打ってつけだったぞ? お前程度の女でも役に立ったんだ。ありがたいと思え」
 ペニスをしまいながら傲岸に言い放つ礼門。その視線の先には、新聞紙の上であおむけになり、惨めにガニ股姿を晒す桃香がいた。性器を隠す気力も足を閉じる体力も無く、嗚咽を上げながら精液を垂れ流す様は、哀れと言う他ない。奴隷として足蹴にしていた忠一に初めての挿入を許し、コマとしてさんざん利用した礼門に処女膜を引き裂かれたのだ。これも当然か。
「……はい、ありがとう……ございます。礼門様……」
 そんな憎っくき凌辱者に、しかし桃香は敵意を向けるどころか媚びへつらい、機嫌を窺っている。そこには、人間としてのプライドさえ捨て去った哀れな雌犬……いや、ただの肉で出来た便器が、存在するだけだった。
 もちろんまだ桃香への凌辱は終わらない。
 彼女がクラスメイトたちにしてきた仕打ちは、まだまだこんなものではないからだ。桃香に復讐したい人間は、男子だけでも両手の数では足りないほどであった。
「へへへ……ついに僕も童貞卒業かぁ」
「自然教室の夜に、クラスの女子相手に卒業って、俺ら勝ち組じゃね?」
「でも相手が羽生じゃなぁ……オシッコ臭いし」
「我慢しろよ。顔だけならそこそこだしさ、セックスの練習台だよ、あんなの」
 隆々とした性器を露出した雑魚男子たちが、礼門と入れ替わるように桃香を取り囲み始める。彼女の長い夜は、まだまだ、明けそうになかった。
 
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